2004年09月13日

パフォーマンス

ミシェル・カミロは、私の大好きなピアニスト/作曲家のひとり。
2年振りにブルーノート東京でライブがあったので行ってきました。
席は1-1、ピアノの鍵盤真正面。
どうしてそこにしたかというと、単純に彼に近いから。
グラミー賞プレイヤーが2mの位置で演奏してくれるというのは贅沢でしょ。

しかし、その近い席には重大な盲点があったのだ。

彼がピアノの前に座っていないときは、鍵盤が真正面から見えるのだが、いよいよ彼がその前に座ると・・・。背中しか見えない。
そりゃ当然だろ、と思うかも知れないが、実際にその場所を選んだときには「左手を見るには絶好の場所だよね」と思っていたからさあ。
実際、左手は見える。逆に言えば、左手の動きを見るには最高の場所、とも言える。
正確に言うと、左手が下から2オクターブの範囲で動いている時は見える、となる。
もっと正確に言うと、「背中を見るには最高の場所」でした。

左手を見るんだ!と思っていても、やっぱり右手が見えないというのは想像以上のストレス!
あのカミロの背中の向こうで演奏されていることはわかっても、その様子が見えないというのは辛い。

そこで今回は、足を見ることにした。
グランドピアノには3本のペダルがあるが、想像以上に多用していたのが左側のシフトペダル。
これはグランド特有のペダルで、踏み込み方によって音色がソフトな方向に変化する。ミディアムでは全般に使っていました。
真ん中のソステヌートペダルは使ってなかったな。

激しい曲の時は、ダンパーをたまに使う(結構意外だったが)以外は、足で床を踏みならします。ひざは鍵盤よりも高く上がっていた。KANみたい。
右足の時もあるし、左足の時もある。両足で、という場面はないよ。実際それじゃ弾けないだろう。

ドラムソロの時には、タオルで顔を拭く。水も飲む。右手でリフを繰り返しながら、左手で顔から首の後ろまで拭いて、まだタイムが残っていたからか、鍵盤も拭きます。
余裕だねえ、と思っているとカミロのソロになりました。右手で自分を指さして「俺?」みたいなポーズの後、ビートは狂わせずにソロに入る。さすが。しかもCDでは聞けないくらいのフェイク。そんな崩し方もあるのね、と思うような斬新さ。
そんなところが見られるのもライブの良いところですな。

背中を見続けた1時半だったけど、感動させてもらいました。
客席には笑ながら泣いている人、人。
あのパフォーマンスは「笑うしかない」。曲を知っている人は泣くね。

だっていつも聞いているあの曲が目の前で演奏されているんだよ。

私も泣いてきました。

Posted by shed at 2004年09月13日 00:00