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常磐津「角兵衛」

お正月の江戸の街頭の様子を表した風俗舞踊。
 江戸の下町で、新年に越後の田舎から出稼ぎに来た角兵衛獅子(かくべえじし)と、町中を門附(かどつけ)に歩く江戸育ちのいわゆる小股の切れ上がった粋な鳥追い女(とりおいおんな)が出会います。朴訥な田舎者の角兵衛と粋な江戸前の鳥追いとの取り合わせの妙ながら、町を流して歩く芸人同士、いつしか顔馴染みとなり、恋を語る仲となりました。その二人の対照的なところにこの舞踊の面白さがあります。

 花道に獅子頭をかぶり太鼓を胴につけた角兵衛と三味線を抱えた鳥追いの二人が登場します。顔見知りが道でばったり行き会ったという設定です。本舞台に移り、角兵衛は獅子舞の振りで舞い始め、互いに二人がかわるがわる身の上話をし合うという内容。「籬のすががき」からガラッとハデになり、廓の描写となり「おや、聞いたようだよ」と鳥追いが絡み、お決まりの渡り拍子。最後は団扇太鼓を持って越後七不思議を詠み込まれた節で踊る題目踊りで華やかに盛り上げます。
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